第11章 俺のターン
総悟に連れられて屋台へ行くと、そこには近藤さんと土方さんがいた。
土方「...よォ。久しぶりだな」
屋台の支柱に寄りかかりながら煙草を吹かしていた土方さんが片手を上げる。
『お、お久しぶりです』
詰め寄られた時のことを思い出し、思わず顔が上気した。
近藤「トシ、総悟、知り合いか?」
私の方を見てポカンとする近藤さん。
あ、そっか。
私は知ってるけど近藤さんは私と会うのは初めてか。
『はじめまして。数日前から万事屋で働いています。小鳥遊さくらです』
近藤「ああ!あんたがさくらちゃんか!総悟やトシから話は聞いてるよ。俺は真選組局長の近藤勲だ!これからよろしく頼む!」
そう言って近藤さんは手を差し出した。
『よろしくお願いします』
なんか漫画とかで見るより意外と普通の人っぽい...?
ニコニコと笑う近藤さんとシェイクハンドを交わしていると、屋台の奥で悲鳴が聞こえた。
隊士1「でっ、出たぞ!万事屋んとこのチャイナ娘だ!」
隊士2「す、凄い勢いだ!このままじゃ氷が無くなっちまう!誰か止めろ!」
あらー...ちょっと目を離した隙にってこういう事ね。
『神楽ちゃーん。あんまり食べると頭キーンってなるよー』
まるでジュースでも飲むかのようにサラサラと喉に氷を収める神楽ちゃんに声をかける。
神楽「大丈夫アル!もう何杯食べたか覚えてないけど全然痛くな...あだだだ!」
ほら言わんこっちゃない。
神楽ちゃんがうずくまったのを合図に、隊士達が氷のケースを屋台の奥の奥へ隠した。
土方「オイさくら」
『はい?!』
頭を抱えて転げ回る神楽ちゃんを見ていると、いつの間にか隣にいた土方さんに声をかけられた。
土方「何味だ?」
え...あ、かき氷のことか。
『えっと...いちごミルクで』
土方「ん」
そう言って慣れた手つきでかき氷を作る土方さん。
土方「ほら」
シロップをたっぷりかけたかき氷を土方さんが差し出してくれる。
『ありがとうございます...えっ』
かき氷を受け取るために手を伸ばすと、力強くその手を掴まれる。
『あの...』
土方さんはチラリと腕時計を見ると、言った。
土方「20分後。裏の神社に来い」