第25章 川立ちは川で果てる
『あのー…』
私と近藤さんは一旦冷静になり局長室に戻ってきた。
『色々と、すみませんでした…』
向かい合って正座し、深々と頭を垂れて謝罪する。
近藤「いや、頭を上げてくれ!俺の方こそすまなかった。コイツは王国星のバカ…ハタ皇子から故あって一時的に預かっているヤツでなァ」
そこまで言うと、ぺったりと肩に張り付いているゴリラの頭をぽんぽんと叩いた。
近藤「やたら俺に懐いちまって、こうして常にくっついてるんだ」
ゴリラだと思われてるんじゃないでしょうか。
…喉まで迫り上がった台詞はなんとか飲み込んだ。
罪に罪を重ねるつもりはない。
近藤「だが最近になってウンコを投げつけるおかしな癖がついてしまって、バ、ハタ皇子になんと詫びれば良いか…」
愛情表現ですよ。求婚されてます。
…喉まで迫り上がった(以下略)
こっちの方は可哀想で言えなかった。
近藤「まぁコイツのことは置いといてだ、疲れてるところわざわざ屯所まで出向かせちまって…すまなかったな」
『え、いやそれは全然!気にしないでください!』
近藤「君が見つかったと連絡が入った時、俺は松平のとっつぁんと会議中でな。急ぎで顔見知りだった総悟とトシを向かわせたんだ」
そうだったんだ…
近藤「懸賞金騒ぎまで起こしちまって馬鹿な連中よ。上もカンカンでなァ。いやー、参った参った!ガハハハハ!」
『う…本当にお騒がせしました…』
近藤「ん?そういうつもりで言ったんじゃないぞ!勝手に馬鹿騒ぎを起こしたのは俺達だ。あとで始末書の1つや2つ書けばそれで終いさ」
『…』
申し訳ない…
近藤「さくらちゃん」
近藤さんが穏やかな声で私を呼ぶ。
近藤「そう気に病まんでほしい。俺達は君が見つかって、また元気な姿を見せてくれるだけでいいんだ」
『…でも』
近藤「そう言うと思ってな!」
『?』
バチン!と分厚い手のひらを叩き合わせる。
近藤「さくらちゃんに1つ頼み事がある!」