第24章 パトカーのサイレンって何もしてないのになんか緊張する
『この…、ばっ、もー…っ、馬鹿!!!』
どんだけ厚いボケの壁用意してんだ!
突っ込んでも突っ込んでも別のボケが行く手を阻んでくるよ!
超○型巨人も「あ、無理だわこれ」って回れ右してマーレに帰るレベルだよ!話が一向に進まないよ!
『私が原因だとしても!ゴリラに至っては上京した息子が盆に実家に帰ってきたくらいの変化でしょうが!そんなんで傾く国ならとっくの昔に滅んでるわ!てか誰か一回滅ぼしてお願い!300円あげるから!!』
ぜぃぜぃと肺が鳴り肩で息をする。
沖田「まぁまぁ、そうカリカリしねェで」
『誰の…っ、せいかな…?』
酸欠でクラクラする頭に鞭打って総悟を睨め付ける。
こちとらシリアスシーンから復帰したばっかりなのよ。
台詞8割『…』の世界よ分かる??
肺も表情筋も鈍り切ってるのにこの仕打ち…
リハビリさせてください。
沖田「ま、ここまでの話はほんの冗談でさァ」
『冗談…?』
信じられない。
シンプルに張り倒したい。
沖田「懸賞金騒ぎまで起こったとなれば町民の前で逮捕でもしとかねェとさくらはいつまでも追われる身のまま。つーわけでさくらの逮捕はポーズにすぎねェってこった」
そう言いながら手錠を外す総悟。
やっと手首が自由になった。
沖田「昼には攘夷志士による情報の錯乱が原因の誤認逮捕だったとニュースが流れる算段がついてらァ」
『なるほど、あえて目立つ方法で私を逮捕したってわけね』
沖田「ご明察」
『ありがとう、総悟』
羽が生えたように軽くなった両手で総悟の左手を掴み握手を交わす。
沖田「礼なんざ…」
少し照れたように鼻を擦る総悟。
『でも』
流れるような動作で総悟の左手を太ももに挟み、
『一発キメさせて?』
腕ひしぎ十字固めをキメた。
沖田「いだだただだだ!!何すんでィさくら…!」
『ややこしいんじゃ〜〜〜!』
ギリギリと音を立てて軋む総悟の左手。
さらに手首に撚りを加えようと構えたその時。
新八「あ、いた!」
背後から新八くんの声がした。