第24章 パトカーのサイレンって何もしてないのになんか緊張する
『ない、内乱…?』
秩序の崩壊。思い当たる節が無いわけではなかった…。
まさか、私がこの世界に戻ってきたことで何か問題が…
『何があったか教えてくれる…?』
総悟はもう一度深いため息をつくと、
建物の壁に背を預け、その重い口を開いた。
沖田「さくらがいなくなって数週間が経った頃、俺は不意にアンタの存在を思い出した。俺だけじゃねェ。関わりのあった人間がそれぞれのきっかけで思い出した」
『…』
沖田「なぜ忘れていたのか。さくらはどこに行ったのか、屯所中大騒ぎだった」
『うん…』
沖田「草の根分けても探し出せと副長命令が下され、懸賞金だの何だのと手を尽くしたが見つからない。そのうちに鬼の副長は…」
そこまで言うと悔しそうに眉を寄せて臍を噛んだ。
『…っ』
少しの静寂の後、総悟が沈黙を破った。
沖田「副長は…、心労祟って前髪がV字に禿げ上がりマヨネーズの摂取量が普段の3.5倍になって少し、ぽっちゃりした」
『…うん?』
かけ足で話し続ける総悟。
沖田「食費はかさみ、経営が成り立たず、真選組は火の車。山崎は長期に渡るあんぱん不足で書斎に籠り日記に何かを書き殴る生活。ゴリラはストレスにより野生の防衛本能が開花。身体中の毛穴から毛が吹き出し…」
『…』
沖田「森にかえった」
つう…と総悟の頬に涙が滑り落ちた。
沖田「アンタの存在がこの国の警察組織である真選組を脅かし、この国に懸賞金騒ぎなんていう混沌を招いた。これはれっきとした内乱罪に値す…」
『じゃねェだろォオォ!』
唯一自由を許された両足でドロップキックをお見舞いした。