第24章 パトカーのサイレンって何もしてないのになんか緊張する
『…総悟』
沖田「久しぶりじゃねェか、さくら」
見知った顔に安堵し、心臓の拍動が落ち着いていく。
なんだ、総悟か…
もしかして私が冤罪で他の警察に捕まる前に保護しようとしてくれてたんじゃ…
沖田「いきなり逃げだすなんて酷いじゃねェか。俺の声、忘れちまったんで?」
耳の垂れた小型犬のようにしょんぼり肩を落とす総悟。
『違う違う!忘れてない!ただパトカーの音ってなんか緊張するでしょ?だから体が勝手に動いちゃったと言うかなんと言うか…』
沖田「そうかィ。んなら安心しやした。何も取って食おうってわけじゃねェ、そんなに怯えんでくだせェよ」
『そうだよね、ごめんねいきなり走って逃げたりして…』
沖田「ほんとでさァ。俺はただ…」
顔を上げにっこり微笑んだ総悟。
あ、違うわこれ。
沖田「俺はただ、勝手にいなくなったどこぞの馬鹿犬をしっかり躾直そうと思っただけでさァ」
ガチャン
鈍い音と同時に手首に感じる冷たい感触。
沖田「た〜いほ」
気づくと私の両腕は手錠を掛けられていた。