第24章 パトカーのサイレンって何もしてないのになんか緊張する
町民の輪が、逃がさないとでも言うように私たちを囲い込む。
神楽「何アルかお前ら!」
源外「なんだァ?俺達を捕まえようってのか?」
にじり寄る町民。
慌てふためく私達。
『…?』
私は、電話をかける町民が何人か同じような紙を持っていることに気づいた。
『失礼しまーす』
どさくさに紛れてその紙を覗き見ると
『指名手配…?』
〜 似ていると思ったらすぐに110番通報を!大江戸警察 〜
そんなよく見る手配書の台詞と共に載せられていた私の写真。
『ん!?私の写真…!?』
いつの間にか私は指名手配されていた。
新八「さくらさん、コレ…」
神楽「さくら…」
幼気な2つの瞳が私を見つめる。
『いやいやいや!違うから!私知らないから何もしてないから!』
神楽「でもコレ…いち、じゅう、ひゃく…100万円って書いてあるネ」
『ひゃく…!?』
源外「嬢ちゃん、初めて見た時から威勢のいい勝ち気な嬢ちゃんだと思っちゃいたが、まさかお前さん…」
『えっ?何みんな…そんな目で見ないで!そんな真っ黒な目で私を見るなァァァ!」
ウ〜〜ウ〜〜
『はっ!』
遠くから聞こえるパトカーのサイレン。
それは確実に私たちのいる場所へと近づいていた。
何だっけ何したっけ…
考えれば考えるほど焦ってしまって何も思い出せない。
「はい警察です。道を開けなさーい。緊急車両通りまーす」
間延びした声と裏腹に爆速で近づいてくるパトカー。
こうなったら仕方ない。
『さよならっ!!!』
私は走った。
メ○スは少しずつ沈んでいく太陽の十倍の速さで走ったらしい。
私は多分その倍は出していたと思う。
安○アナが昔メロ○の速度はマッハ14って言ってたな…
「おーい、そこの○ロス、止まりなせェ」
『しぶといわね!』
「そんなに急いだところで向かう先にセリヌ○ティウスくんはいやせんぜ」
うるせぇェェ!
私は激怒した。
私は私を指名手配犯に仕立て上げた邪智暴虐の王を除かねばならぬのだ!
セ○ヌンティウスくんもきっと分かってくれるはず……
ん??
聞き馴染みのある声に足を止める。
すると追いかけていたパトカーも止まり、誰かが助手席から降車した。
「ったく、相変わらず変な女だねィ」
その男は呆れ顔で笑った。