第23章 桜人
『きゃ…っ!』
銀時「あぶねぇ…!」
銀さんが私を受け止めようと腕を広げて構え、
固まった。
銀時「おい、お前ェ!」
『えっ、なに!?』
突然の怒号に目を見開く。
銀時「何っつーカッコしてんだ!腰布1枚で木登りって、防御力0じゃねェか!どんだけおてんばだァ!?」
自分の体を改めて見る。
風に舞い上がるスカート。
木の皮でビリビリに裂けたストッキング…
『み、見ないでェェェ!』
銀時「見ないでどうやって受け止めろっつーんだよ!」
どうする、とりあえずスカートの裾をなんとか…
神楽「こうすればいいアル」
サクッ…
柔らかい何かに鋭い何かが刺さったような音がした。
銀時「ウガァァァァ!」
両目を押さえて転げ回る銀さん。
ピースサインでいい笑顔な神楽ちゃん。
新八「なんなんですか、さっきまで回想シーン盛り盛りのシリアスストーリーでしたよね。どういう展開?」
神楽「長かったシリアスシーンの反動ネ。もう身が持たないアル」
新八「いやなんの話?」
新八くんツッコミはいいから助けてぇぇぇ!
源外「開くぞォォォォ!」
唐突に叫ぶ源外さん。
手元にはどこかで見たことのあるクルミっぽい何か。
何とは言わないけど。
銀時「なにが?何が開くの?もしかしてゲート?どんなタイミング!?」
源外「俺はラピュ○が好きなんだ」
銀時「シ○タの落下速度じゃねェだろ!こんなんパズ○が親方呼んでる間にシー○地面に叩きつけられちゃうよ!」
源外「あ、すまん、もう開いちゃった」
「「ウワァァァァァ!!」」
阿鼻叫喚。
焦り叫ぶみんなをよそに、
『あははは!』
私は思わず笑ってしまっていた。
落ちる先には大きな黒い穴。
ここに吸い込まれればもう戻ってこられない。
『…』
それでももう、私は背中を押されてしまったんだ。
『ありがとう』
遠ざかる桜の木が優しく、笑うように揺れていた。