第23章 桜人
『言っている意味がよく、分からないんですが…』
嘘?
『嘘なんて…』
…
…ついていたんだろうか。
毎日復讐することだけを考えて生きてきた。
その気持ちが私の命を長らえさせていた。
でも、あの世界に行って
ずっとこんな日が続けばいいと思った。
あの夜、幸せな夢が見たいと思った。
初めて未来に期待した。
もし、夢じゃなく、本当に幸せになれるとしたら…
『幸せに、なりたい…』
零れ落ちた言葉に思わず口を塞ぐ。
『…っ』
幸せを望んではいけないと、そう思い続けてきた。
でも私は、幸せにならなきゃいけないんだ。
『みんなと生きたい…!』
ゴォォッ…!
強い風が吹き、枝が大きく揺れた。
風の勢いに押された私は、
木から落下した。