第22章 邂逅
翔太「先生、俺たちずっと待ってたんだよな」
震える声で話し続ける翔太。
歯を食いしばり、鼻先は涙を堪えて赤く染まっていた。
翔太「なぁ先生、姉ちゃんは悪いこと何にもしてねぇよなぁ」
『そんなこと…』
翔太「俺たちを守ってくれたんだよな。一人で、全部守ろうとしてくれたんだ」
『守れてない…何も、守れなかった…』
先生を守れなかった…
子どもの私じゃ、家族を守ることができなかった…
家族がバラバラになってしまった…
翔太「今日は先生にもう一個プレゼント持って来たんだ」
鼻をすすり、ポケットから紙切れを1枚取り出す翔太。
花束の上にその紙を乗せようとしゃがみ、微笑んだ。
翔太「なんだ、もう知ってたか」
ほら、と手渡された紙切れは新聞の切り抜きだった。
よく見ると置かれた花束には同じ切り抜きが何枚も添えられていた。
翔太「姉ちゃん、アイツら捕まえたって。な?」
振り返った翔太の顔は、見慣れた泣き虫の弟の顔だった。