第20章 選択肢は少なすぎても多すぎても困るもの
銀時「まぁ、そんな日もあらァ。神楽ならいっつも留守番してっから次からは大丈夫だってババアに言っといてくれや」
たま「分かりました。家賃はパチンコで大負けして払えないと伝えておきます」
銀時「いや違うって!腹減ってたんだって!」
神楽「たまー、銀ちゃん帰って来たアルか?」
奥から髪が濡れたままの神楽が顔を覗かせる。
たま「はい、戻られましたよ。それでは銀時様、神楽様、私はお登勢様の所へ戻りますね」
神楽「うん!おやすみネ!」
たま「おやすみなさい、神楽様」
銀時「いいか!絶対ェ余計なことは言うなよ!」
たま「銀時様、私最近フリというものを覚えました」
銀時「そうか良かったな。だがこれはフリじゃねェ!」
たま「おやすみなさい」
銀時「オイィィィィ!!!」
神楽「銀ちゃんうるさいアル」
戸が静かに閉められ、神楽もドライヤーをかけに奥に引っ込む。
銀時「あ…なんか今…思春期の子どもを持つ全国のお父さんの気持ちが分かった気がする」
全国のお父さん。
たとえ娘に臭いと言われようが、キモイと罵られようが、俺は味方です。
とりあえず家に上がり、苺牛乳を接種するために台所を目指す。
ドライヤー終わったら神楽に明日は家の戸絶対ェ開けんなって言わねえとな。
ババアが集金という名のもとに俺を殺しに来る。
銀時「あとはキャサリンか…」
アイツ鍵かけてても入って来るからな…
冷蔵庫の扉を開け、苺牛乳をコップに注ぐ。
銀時「ぶっはー!一杯引っ掛けた後の苺牛乳はサイコーだな!」
コップを流しに置き、風呂に入ろうと台所を出る
その時
銀時「何だこれ」
テーブルの上に、一冊のノートがあることに気が付いた。
銀時「まーた神楽か。使ったら元に戻せって毎回…」
いや、これは…
銀時「神楽のじゃねぇな。字が汚くねェ」
神楽の字は「ぐ」が反転するくらい壊滅的だった。
銀時「…レシピ本?」
ページを開けば、イラスト付きのレシピがびっしりと書き込まれていた。
新八のか?
いや、でもアイツこんな丸い字書かねェしな…
銀時「ま、いっか。とりあえず風呂風呂…」
ノートを元あった場所に置き、自室に…
銀時「…」
腹、減ったな
銀時「…作るか」
何となく
胸の奥が痛いような気がした