第20章 選択肢は少なすぎても多すぎても困るもの
~さくらside~
一瞬音が遠ざかる。
こだまする様に響く銀さんの低い声。
『…』
繋がれた手が熱かった。
『…ホントはね』
銀時「…」
ホントは、今日
『銀さんにちゃんと返事しようと思ってたの』
銀時「返事?」
『うん。夏祭りの返事』
銀時「ああ…」
『言い逃げなんてズルいでしょう?』
銀時「…やっぱそう思う?」
反省したように上目遣いで少し笑う銀さん。
『うん。超ずるい』
繋がれた手を握り返す。
指を絡めて、熱を奪う。
『もう一回言ってくれるとは思わなかったけど。ちゃんと答えるチャンスをくれてありがとう』
銀時「…おう」
暖かい大きな手。
もう一度、絡めた指に力を込める。
銀さん…
『ごめんね』