第20章 選択肢は少なすぎても多すぎても困るもの
『えっ』
動揺したさくらの手元が揺れ、さくらの線香花火はポトリと地に落ちた。
銀時「俺の勝ちな」
『あ…』
ジュゥ…
火の灯ったままの線香花火をバケツに放り込むと、火薬の匂いと焼ける音が響いた。
『銀さん、さっきなんて…』
銀時「んー?」
『ねぇ』
銀時「俺のモンになってって言った」
『…っ』
混乱した様子のさくら。
そりゃ一回他の野郎んとこ行けって言われてるもんな。
混乱して当然だろ。
でも俺ァもう引かねェ。
銀時「俺はお前を幸せにする自信なんて無ェ。寧ろその逆だ」
『…』
俺は心底最低だと、思う。
銀時「でも、俺はもう、お前が不幸でもいいと思ってんだ」
『うん』
そんな俺をまっすぐ見つめ返す瞳と視線がぶつかる。
俺はこの視線を逸らしちゃならねェ。
銀時「お前が俺の隣で不幸になっても良い」
『…』
これでもう後には戻れない。
さくらの手を取り、もう一度。
でも、前とは確実に違う言葉で。
告う。
銀時「俺にお前を愛させてくれ」