第20章 選択肢は少なすぎても多すぎても困るもの
〜新八side〜
新八「ったく…神楽ちゃん、おやつ食べる前に手洗って」
神楽「あいヨー」
定春の散歩から帰ってきた神楽ちゃんを洗面所へ促しながらメガネを拭く。
凄いよ、夜兎の末裔に時計ぶつけられたにも関わらずヒビ1つ無いよこの眼鏡。
ページ捲れば全快するこのシステムが無かったらメガネ代だけで巨額の負債抱えてマダオルート確定だよ。
玄関先でギャーギャーと騒ぐ2人をせめて居間でやれ、と説得すると、銀さんはここに居るの一点張りで言うことを聞かず、飽きた神楽ちゃんだけが居間に戻った。
新八「さて、今晩は何にしようかなぁ」
帰りの遅いさくらさんの代わりに夕飯は僕が作ることになった。
まぁ、時間もないし有り合わせにしようと冷蔵庫の蓋を開け…
新八「え"…」
目を疑った。
新八「…」
神楽「ん、どしたネ新八ィ」
定春を引き連れた神楽ちゃんが冷蔵庫を覗き見る。
神楽「んぉ?すっからかんアル」
That's Right.
大正解。
眼前に広がる光景は冷蔵庫が発する青白い光ただそれだけ。
有り合わせとかそういう次元じゃなかったァァァ!
何で何もないの!?一般家庭の冷蔵庫で何も入ってない冷蔵庫ってある!?
いやまぁ確かに何も無いわけではないよ。ソースにマヨネーズにいちご牛乳…冷蔵庫の意味ないよ!ドアポケットだけで事足りるよ!
はぁぁぁ…
新八「…神楽ちゃん…買い物行ってくるね」
神楽「ピッグ!カウ!チキン!カウ!」
新八「…神楽ちゃん、豚はポーク、牛はビーフって言うんだよ」
神楽「はーん。分かったアル………ビック!!!!!!!!!」
新八「何が!!!!!!!!」
牛と豚が混ざってこんがらがっている神楽ちゃんを宥めつつ、財布だけを引っさげて急いで玄関へ向かおうとした、その時――――
ガラガラガラッ
玄関の開く音がした。
新八「あれ、銀さん?」
そっと玄関を覗くとそこには
『メシア!財布持ってどこ行くの?』
なぜか冷や汗をダラダラとかいたさくらさんと微妙な顔で片頬を引きつらせた銀さんが立っていた。