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タイムマシンは幸せの鍵【銀魂】

第19章 繊細な美


〜土方side〜

土方「答えは出たか」

『…』

唐突にも思える言葉。
答えの要求。

だがさくらは特に驚いた様子もなく、へらりと笑った。

『何でバレちゃうんですかね…私ってそんなに分かり易いんですか?』

土方「あぁ、考えてること全部が家出してんだよ」

『じゃあ、私が今食べたいもの何か分かりますか?』

土方「そりゃ勿論マy」

『エビピラフです』

土方「…今言おうとしたのにお前が遮ったんだろーが」

『フフッ…さいですか』

首を垂れてクスクスと肩を震わせるさくら。
その横顔は、短い黒髪が隠してしまってこちらからはよく見えない。


『…私、こっちの世界に来るまであなたと肩を並べて話をすることがあるなんて思ってもみなかったんです』

俯いたまま、言葉を紡ぐ。

『况て、好きだって言ってもらえるなんて…』

土方「…」

『ねぇ、知ってますか?』

目線より少し低い位置から、見上げるような視線が俺を捉える。




『私、土方さんのことずっと…好きだったんですよ?』



土方「…っ」

心臓がドクリと跳ね、それと同時に背中を流れる一筋の汗。

誰だ、この女は。

初めて見るさくらの表情。
誘うような、それでいて、射るような視線。

土方「さくら…」

視線に魅せられ、頬へと手を伸ばす。

その手が頬に触れる…あと少しでさくらへと届く…その時、さくらは顔を上げた。

『でも、違ったんです』

土方「…」

『それは…その感情は、"憧れ"でした』

緩慢な動きで立ち上がるさくら。

伸ばしかけた手は虚しく宙を掴んで力なく落ちた。

『人として、武士として、同じ職業である警察としての土方さんに対する憧れです』

言葉を繋げるその仕草さえも、俺の知るさくらではない。

あぁ、こいつはこんな顔もするのか。


そして悟る。


『だから』


俺ァ今


『土方さんのお気持ちには応えられません』



振られたのか。
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