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タイムマシンは幸せの鍵【銀魂】

第19章 繊細な美


それから、私服に着替えた土方さんは、私を屯所の縁側に連れて来た。
何でも、トイレ休憩宣言をした時から流れ解散にするつもりだったらしい。

そして私はと言うと、連れて来られた縁側に座ってお茶を飲んでいた。

『…』

土方「…」

無言で。

『あの』

土方「…何だ」

返ってきたのはとんでもなく不機嫌な声。

『まだ…怒ってますか』

土方「…怒ってねェっつの」

嘘だァァ!
私の目を見て言ってみろ!

『いやあの、弄り過ぎたのは…すいません』

土方「弄る?え、俺のこと?どこで俺の何を弄ったって?皆目見当も付かねェなァ!」

この期に及んでしらばっくれるイケメンお巡り土方。
どうしても無かった事にしたいらしい。

そうかい。

『…あの花、綺麗ですよね』

何となく話題に困って庭に咲いた花を指さす。

土方「あ?何だ急に。どれだ」

『あれですよ。あの、八重咲きのピンク色。何ていう花かご存知ですか?』

土方「…いや」

そうだろうなぁとは思ってたけどやっぱりか。
まぁ男の人は花なんて興味無いよね。

『芙蓉の花ですよ。今はお昼だからピンク色ですね』

土方「朝晩関係あんのか?」

お、食いついた。

『芙蓉の花は種類にもよりますが、一日三回色が変わるんです。朝は白、昼間はピンク、夕方は紅色…』

土方「フッ…酔っぱらいみてェな花だな」

瞳孔の開いた瞳を芙蓉の花へ向けて優しく笑う土方さん。

良かった…あのまま仏頂面だったらどうしようかと思った。

土方「随分と花に詳しいな」

なんですかその目は。
そんなに意外かコノヤロー。

『昔、親…代わりだった人に教わったんです。その人も花が好きで…』

色とりどりの花が囲む少し広い教会の庭。
よく先生と水をやった。
水をあげすぎて根を腐らせてしまった時も、先生は優しく頭を撫でて…

『…え?』

懐かしい記憶を掘り返していると、思い出の中のものより遥かに大きな手が、突然私の頭を掴むようにしてグリグリと撫でた。
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