第19章 繊細な美
土方「…」
土方さんが無言で一歩踏み出す。
すると…
『え…?』
周りにいた隊士達が一斉に壁際へと避け、私と土方さんを繋ぐ花道をつくった。
土方「…」
シンと静まり返った道場の中を土方さんが鬼の形相で歩いていく。
土方「…山崎」
山崎「は、はいっ!」
土方「こっから30分…」
山崎「はい行きます!すぐ行きます!ほら!」
隊士s「お、おお!」
バタバタバタッ
そして真っ青な顔で居なくなる隊士達。
なんか…
『…ブハッ』
土方「あ?」
壁に突き刺した真剣を抜いていた土方さんが不機嫌な顔のままこちらを振り返る。
『…いえ、何でも…ククッ』
土方「何だよ」
『いやー…ハッハッハッハ!』
土方「…」
堪えようとすればするほど込み上げてくる笑いを、遂に我慢できずに外に出してしまった。
さらに機嫌を悪くした土方さんは瞳孔かっぴらいてこっちを見ている。
あー、怒ってる。
言わなきゃダメかぁ…
『いやあの、悪気はないんですよ…ブフッ…にしても…組の者にしか見えなくて…ククッ』
まだ若干収まらない笑いを無理やり押し込んでチラリと土方さんを見やる。
視線が合うと眉間の皺を深くして一言。
土方「るせぇ!」