第19章 繊細な美
隊士1「あんだけカッコつけといてこれかよ!」
隊士2「士道不覚悟で切腹しろやコノヤロー!」
非難轟々である。
土方「だからトイレ休憩だっつってんだろ!屯所の厠でこの人数だと混むかなーとか諸々の配慮の末の30分だっつってんだ!30分以上かかりそうな場合は個室も使え!」
何の話だ。
隊士3「知ってんだぞ!あそこの女、副長が惚れたっつー女だろ!」
隊士1「まじかよ!」
『?!』
ある隊士の一言でむさ苦しい男共の視線が一気にこちらへ集中する。
『いや、あの、えっと…』
隊士2「オイ、こっからじゃ見えねぇよお前ちょっと屈め!」
隊士3「名前なんて言ったっけな」
隊士4「何か見たことあるな。どっかで会ったか?」
隊士1「夏祭りの時だろ」
隊士4「ああ万事屋の!」
隊士2「見えねぇって!お前邪魔!ちょっと!ねぇ!……ぐすん」
『…』
ジリジリと近づいてくる好奇の目。
嗚呼…もうダメだ、我慢できない
『う…』
"うるせェェェェ!"
そう叫ぼうと口を開いた、その瞬間――――
ヒュンッ キィィィン…
目の前を何かが横切り、壁に垂直に刺さって音を立てた。
『真剣…!?』
隊士s「…」
隊士達は脂汗を浮かべて剣の飛んできた方向を振り返り、私も恐る恐るその視線を追う。
そこには
土方「そっから一歩でも動いたやつ、切腹」
隊士s「…」
土方「…なんざさせねぇよ」
こめかみに青筋を浮かべた鬼が立っていた
土方「俺がたたっ斬る」