第17章 夢幻
〜さくらside〜
『…っ!だぁ!』
神楽「でぇ!」
目が覚めて勢い良く体を起こすと、目の前にあった神楽ちゃんのおでこと私のおでこがこんにちは。
強過ぎる激痛に悶える2人。
『ぐぉぉ…ごめん神楽ちゃん…』
神楽「がぁぁ…」
いてぇぇ…デコが…デコがじんじんする…
銀時「うるせーんだよお前ら。結野アナが喋ってんでしょーが」
苛立った銀さんがテレビを指さしながら声を荒らげた。
『へいへい、申し訳ございませんね』
ヒラヒラと手を振って神楽ちゃんに向き直る。
『ごめん神楽ちゃん…大丈夫?』
神楽「大丈夫ヨ。こう見えて石頭ネ。ちょっとやそっとじゃ割れたりしないネ!」
いや、割れたら大惨事だろ。
『それより神楽ちゃ…あ"!』
神楽「?」
とんでもない事思い出した!
『夕飯!』
慌てて辺りを見回す。
眠っていたということは、暫く時間が経ってたって事で…
『あれ?』
テーブルに置いたはずの3人分の夕食は行方を暗まし、残されてあったのは伏せられた私の茶碗とラップがかけられた唐揚げだった。
神楽「夕飯ならもうとっくに銀ちゃんと私で食べ終わったアル。これはさくらの分ネ」
銀時「起こそうと思ったんだけどよ、ヨダレ垂らして寝てっからそのまま寝かしといたわ」
『え!』
慌てて口元を擦るが何ともなっていない。
銀時「嘘だよ。馬鹿」
『いちいち馬鹿とか言わないでよカバ』
銀時「うるせーよ。お前ェはそこらのカバと仲良くデートでもしてろー、そのままゴールインしろー、そのまま人生の墓場まで即日出荷しろー」
『黙れウー〇ン』
銀時「あっ、てめっ!何章前の話引っ張り出して来やがんだ!だから似てねぇっつってんだろ!」
『黙れプー太郎!』
銀時「…」
言われたとおり黙りこくる銀さん。
皆さん、合言葉はプー太郎ですよ。
『それじゃあ、チンしてこようかな』
皿にかけられたラップを剥がしながら立ち上がる。
電子レンジの中へセットして30秒。
スタートボタンを押そうとして…違和感に気づいた。
『あれ…神楽ちゃん』
神楽「ハイヨ?」
1、2、3、4…
『唐揚げ何個食べた?』