第3章 背中を見せたらいけない相手
ど、どどどどどうしよう...
数メートル先には憧れの人
その名は武装警察「真選組」副長 土方十四郎
それを見つめる私の格好はというと酷いものだ。
一応綺麗に払ったつもりだけど、さっきまで地面に寝てたから服と髪の毛は汚れてるし、口にみたらし付いてるし...
『うぅわ...』
うまく回らない脳みそをフル回転させながらこれからの予定を考えていく。
どうする...声をかける...か?でもこんな汚いし...あ、でもいつ急に元いた所に帰るか...
「オイ」
そんなオイとか言われましても、私こう見えて本命とは緊張して話せないタイプなんで...ってアレ?
「聞こえてんのか?」
『!?!』
呼ぶ声に顔を上げると、眉間に皺を寄せて私の顔を覗き込む土方さんがいた。
『はい!聞こえております!すいません!ありがとうございます!』
土方「お、おう…」
ヤバイ、若干引いてる。
でも何で私の所に…?
『あの…何かしましたか?』
土方「テメーがジロジロこっち見てるからだろーが」
『え!?』
そんな見てたのか…
土方「何か用でもあんのか?」
『あ、えっと万事屋への…』
ドガァァァン
その時、やっと本題へ入ろうという所で横槍が入った。いや、横槍って言うよりは横からかっ飛ばされたバズーカ…?
この展開は…
沖田「駄目じゃないですか土方さん。一般市民には優しくしなきゃ。そんな瞳孔かっ開いた目じゃ怯えちまうでしょ」
煙の奥からやって来たのは、真選組一番隊隊長 沖田総悟。
その華奢そうな肩には、ぶっ飛ばしたばかりのバズーカが重々しく乗っかっていた。
『こ、これは違く、て…』
土方さんの無実を証明しようと口を開くと、総悟がニヤリと笑う。
沖田「ほーら見なせェ、怯えて吃ってらァ。てなわけで土方さんには士道不覚悟で死んでもらいまさァ」
土方「どんな訳だァァァ!」
ガチャリ
総悟のバズーカが土方さんをロックオン
『ちょ!違うって…』
慌てて総悟の腕を掴む。
沖田「いやいや、はっきり言っていいんですぜ?」
ったく、しつこいな…
『だ〜か〜ら〜』
沖田「?」
『違うって言ってんだろうがァァァァ!』
あ、やべ。
気づいた頃には時すでに遅し。
土方「総悟ォォォ!」
事もあろうに、私は総悟の体をバズーカごと投げ飛ばしていた。