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僕だけのペット

第1章 全ての始まりは雪の中。


「あー。見ててくれたんだ。かっこよかった?」
「健人の方がかっこいい」
「うっ」

風磨が膝と手をついて、かなり落ち込んだ。
その隙に泉は健人の後ろに隠れる。健人は子供のようなそんな仕草が可愛くて仕方がなかった。

「ま、まぁいいや。泉ちゃん、君のお父さんとお母さんは?」
「おい、風磨。いきなりそういうこと聞くなよ」
「…わからん。覚えてない」
「本当に記憶喪失なのか…まぁいいや。俺、今日泊まるからー」
「はぁ!?なんで!?」
「雪で電車が動かないんだよ。泊めてー」

と言いながら既にコタツに入って暖を取っている風磨。健人はかなり迷ったが、まぁ電車が動かないのなら仕方がないか、と渋々風磨を泊めてやる事にした。
泉はどういう状況になったのか分かっていないが、少なくともこの知らない男が帰らない、と言うことはなんとなく察した。

「ご飯は?」
「ん、食ってきた。泉ちゃん、俺と遊ぼっか」
「おー。何するー?」
「セックいてぇ!!!」
「うちの泉に変なことすんな阿呆」
「健人、セックってなんだ?」

健人は風磨が言いかけた言葉の続きを言うのも、その意味を教えるのもやめ、なんとかごまかした。風磨がそんな健人をニヤニヤと見ている。

「なんだよ?」
「出会って二日目だろ?なのに随分懐かれるのはえーなーって」
「べ、別に、懐かれてるわけじゃねぇよ…」
「親っていうか、飼い主っぽい」
「お前なぁ!言葉を選べよ!」
「風磨、これなんだ?」

突然泉が風磨の脚の間に入り込むと、風磨のつけているネックレスに興味を示した。
ターコイズブルーの石が入ったネックレスだ。
風磨は急に近付いてきたことに驚いたが、可愛い女の子が顔をすぐ近くまで寄せ、首元をいじっていることに悦を覚えた。

「これは、ネックレスっていうんだよ」
「おー。ネックレスー」
「泉ちゃん、いい匂いするね」
「そうか?」
「おい、泉、近い近い。おいで」
「健人ー」

おいで、の一言で、泉は風磨への興味を無くしすぐさま健人の腕の中におさまった。
風磨は軽く舌打ちをする。

「邪魔すんなよー」
「お前泉に近付くの禁止。危ない」
「失礼な…まぁ、強く否定はしないけど」
「してくれると助かるなぁ!!」
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