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僕だけのペット

第1章 全ての始まりは雪の中。


健人ら三人は音楽の生番組に出ている。
その頃泉はその姿をテレビ越しにボーッと眺めていた。
そして、健人がアップで映る度に、テレビを触って気の抜けた笑みを漏らすのだ。

「お疲れ様です!」

関係しているスタッフなどに挨拶を済ませると、健人は一目散に家に帰った。
泉は大丈夫だろうか。ご飯までには帰ると告げたが、お腹を空かせていないだろうか。
彼にもまだ分かっていなかった。何故、ここまで彼女の事が気になるのか。

「ただいまっ!」
「おー。おかえりー」

言うなり、泉は健人に抱きついた。健人の心臓が思わず高鳴る。

「大丈夫?寂しくなかった?お腹空いてない?」

まるで親のように矢継ぎ早に、気遣った質問をする。
泉はぷるぷると首を横に振って、テレビを指差した。

「健人出てたー。だから大丈夫だ」

見てくれてたのか、と思うと、嬉しい反面少し恥ずかしい。首を傾げる泉に笑みを向けると、健人は夕飯の準備を始めることにした。

「今日はなんだー?」
「ん、今夜はレタスチャーハンと春雨スープ。ごめんね、簡単なもので」
「健人のご飯は美味しいから構わんよー」

そうして、二人で食卓を囲む。
その時、ピンポンと家のチャイムが鳴った。

「はい」
「中島?俺」
「風磨?」
「そー。寒いから早く開けてー」

ガチャリと扉を開けると、風磨が寒そうに肩を震わせ、家の中に入ってきた。

「どうした?」
「いや、話聞いちまった限り、どんな子か見とかないとって思って…って、お?どこにいんの?」
「え?あ、あれ?泉?」
「……泉はいない」

泉はコタツの中に隠れていた。コタツからそう聞こえる。すると、健人も風磨も思わず笑ってしまった。

「大丈夫、怖くないから出ておいで」
「怖いことしないか?泉のご飯食べないか?」
「大丈夫」
「…ふぅ」

泉は安心したように一息つくと、コタツから出てきた。風磨は、その可愛さに目を見開いた。
口許に笑みをこしらえ、泉に近付く。

「初めまして。俺、菊池風磨。君は?」
「おー?泉は泉」
「泉ちゃんね。よろしく」
「さっきテレビ出てた」

風磨を指差しながら健人に告げる。
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