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僕だけのペット

第1章 全ての始まりは雪の中。


泉は自意識が足りないらしい。
お腹や脚を出して基本的にぐだぐだとしている。
健人はそんな泉を見ると、どこか懐かしい気分になるのだった。

「さてと、仕事行かなきゃ」

今日は音楽番組の収録がある。

「おー?なんのお仕事だい?」
「アイドルだよ、一応」
「アイドルー。テレビ出るー?」
「うん、出るよ。テレビの見方分かる?」

ふるふると泉が首を横に振るので、健人は優しくリモコンの使い方などを教えてやった。

「…で、ここのチャンネルに合わせれば見られるから」
「うむ」

しばらくリモコンと格闘していたが、吸収が早いのか咄嗟に覚えてしまう。
それを見て安心すると、健人は仕事に行こうとした、が。

「一人は嫌だ…」

それは必死さを訴えている。

「もー。大丈夫。俺はすぐ帰ってくるから。だからいい子でお留守番しよ、ね?」
「むう…ハーゲンダッツー」
「はいはい。買ってくるね」

外に出ると、着込んでいるというのに寒さが肌に突き刺さる。その中でアイスを欲しがる泉も物好きだ。
健人は少し心配になるが、仕事に向かう。


「おーい、中島。なんだよ、随分もの思いにふけってるな」
「え、そう見える?」
「見えるってーか、そうなんだろ?」

健人と同じSexy Zoneのメンバー、菊池風磨が声をかけてきた。
もちろんプロだ。プライベートに何があってもきちんと仕事はする。
しかし、休憩に入ると、泉の事が心配でならない。

「何かあったのか?」
「実はさ…家に女の子がいるんだよ…」
「お前とうとう…」
「違うよ!とうとうってなんだよ!」
「二人で何を話してるの?」

同じくメンバーの佐藤勝利が二人に近づいてきた。
健人は二人に泉の事を正直に話した。

「この寒い中倒れてたって…しかも記憶喪失なんだろ?お前だけで面倒見れるのか?」
「見られるけど…でもまだ泉が俺の家に住むって決まったわけじゃないし」
「でもお前の性格上ほっとけない…と」

おっしゃる通りです、と言わんばかりに健人は両手を上げて、自分の人の良さに溜息をついた。
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