第12章 混乱
カナの怯えた様子に気づいた玉艶は、クスリと笑うと再び髪を梳き始めた。
「別に壊すって言っても結局私は何もしていないのよ?
壊したのは他でもない、あなた。」
え…?
突然のことに言葉が詰まる。
「あら、気づいてなかったのねぇ。自分の力のこと。」
「ち、力…?」
振り絞って出した声は自分でもわかるほどに震えていた。
『あなたは素晴らしい力を持っているのよ?触れた相手のマゴイを吸い取るなんて、魔法でも聞いたことがないわ。マゴイを吸いつくせば人も、草木もみんな死ぬ。もはや通常の人間ではない、それを超えた神の力。」
「私は…私は普通の人間です。」
「あなた以外みんな気づいているはずよ?だってあなた、生まれてから誰にも触れてこなかったわけではないでしょう。」
カナの顔色がどんどん青くなっていることに気づいた玉艶は、怪しげな笑みを浮かべると手を止めた。