第12章 混乱
あの暖かかった国とは違い冷たい風が頬を抜ける。
「あたしはカナじゃない!お義兄様にいただいた紅奏という名前があります…。それに…確かに私はずっと1人だったけど、私は誰も傷つけたことなんてない。変なことを言うのはやめてください…。」
今にも泣き出しそうなカナをジッと見つめると、玉艶は口元を微かに緩めた。
「そう…そういうこと。」
ゆっくりと近づく影に体に力が入る。
「ならちょうどいいわ。私のかわいいカナ。」
黒い光がカナを包み込む。
カナは逆らえないままゆっくりと重くなったまぶたを閉じた。