第11章 親と子
「挨拶が遅れて申し訳ありません…。明日お義兄様方と陛下の御膳に伺おうかと思っていて…。」
「挨拶なんていいのよ。カナ…その可愛い顔をよく母に見せてちょうだい。」
カナは玉艶に促されれるまま顔を上げる。
あぁ、間近で見るとなんて綺麗な人だろうなんて考えているとクスッと笑われ、顔に熱が集まる。
「透き通った長い髪も、すぐに赤くなるところもあの子そっくりね。」
頬に両手を添えられて、その親指はゆっくりとカナの肌を撫でる。
「紅徳陛下ですか…?」
「違うわ、あの女よ。」
その言葉に、一瞬時が止まったかのようにカナから表情が消えた。
徐々に思考が動き出すと、次々と疑問が浮かぶ。
そういえば…さっきこの人は私をカナって…。
それに…
「お、お母様を…母をご存知なのですか?」
衝撃に声が震える。