第11章 親と子
「あ…あぁ…。」
先程までの決意はどこへ消えてしまったのか。
そのあまりに威圧のある声と立ち姿に足がすくむ。
「紅炎、兄様…。」
紅炎は鋭い目をカナに向け、次にジュダルを見つけるとため息をついた。
それを見て
カナは変わらず震えが止まらないというのに、ジュダルはひょうひょうと両手を頭に組む。
「ハッ、なんだよ紅炎。帰って来てすぐ会うのがこいつとはな。」
「ジュダル、これは貴様の独断か?なぜ紅奏がここにいる。」
「んなわけのねぇだろ紅炎。俺を使うほどオヤジ達もババアも本気だってことだ。」
カナが怖怖と紅炎を見上げる。
あぁ……ばっちりと目があってしまった。
しかしそのまま逸らすことも出来ず、きまづさに汗が流れる。
「行くぞ。」
そう言うと紅炎はカナの手を引いて歩きだした。その歩調は早く、カナの手が赤くなるほど力の入った手をそのままに。
ジュダルの横を過ぎるとジュダルに申しわけなくなって振り返ると、何とも言えないような顔が小さく見えた。
途中何度か表情を見ようと顔を上げたが、紅炎の顔は影になっていて見えず不安がつのるばかりだった。