第11章 親と子
「よし、ここでいいぜ。」
その声にやっとの思いで地面に足をつける。長い間絨毯に乗っていたせいか痛む腰をさすりながら顔をあげた。
と、そこには見覚えのある小池とそのそばにそびえる立派な大樹。そう…たしかこの木は真っ赤な実をつけるんだ。
どうやらここは皇宮にある庭らしい。
吹き付ける少し冷たい風と共に頭によぎる微かな記憶。
揺れる糸をたぐり寄せるようにその断片を必死に掴もうとするが、あと一歩のとこで掴めない。
「なにボーっとしてんだよ、行くぞ。」
しかしそう言って彼に腕を引かれたため、そこで考えをやめるしかなかった、