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君と見る世界の色は【マギ】

第10章 浮かぶ傷跡


閉じていた瞼から涙が溢れるのを感じ、体を横に向けて布団に顔を埋めた。

カナは後半の2人の会話が耳に入らないほどに混乱していたのだ。


シンドバッド王は私のことなんとも思ってなかった。力…?そんなの私知らないよ…。
倒れたのだって演技だった。私を騙すための。

ジャーファルさんは私のこと好きだって?…きっと嘘。どうせジャーファルさんも私自身は見てくれない。私はただの入れ物だって思ってるんでしょう?

なんで私はこんなところに来たの?
お兄様達が考えていることがわからない。
自分のこともわからない。

紅玉にも嫌われちゃった…。


一つの不安はどんどん大きくなってヒシヒシと心が悲鳴をあげる。
涙は溢れ、体が震える。

ッ……。


「紅奏姫…?」

漏れ出した声が耳に届いたのか、眉を下げて悲しげな表情をしたジャーファルさんが近づいてくる。


その声にビクりと体が揺れた。


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