第9章 気持ちの行方
2日後、シンドリア港
「みんな…気をつけてね?」
アリババの手を握ってカナがそう言うと、アリババ達4人は満面の笑みで頷く。
「シンドバッドさんや師匠達がいるから大丈夫だと思うけど、留守は任せたぜ?」
「うん、任されました。」
互いに笑い合って握手を交わす。
さてと。
カナがアリババ達の横に目をやると、明らかに暗く、思いつめたような顔をした紅玉が。
「紅玉、元気出してよ?またすぐに戻って来ればいいじゃない。お別れは少しの間だけじゃない。」
そう言って紅玉の頭を撫でようとした。
したが…
その手は冷たい音と共に弾かれた。
「こ、紅玉…?」
すると、ハッとしたように紅玉は顔を上げ、ポロポロと涙を流し始めた。
「ご、ごめんなさい……。私、私は…お姉様は……。」
「待って紅玉っ!!」
逃げるように走って船へと向かう紅玉の後ろを、申し訳なさそうに追う夏黄文。
どうしたらいいのかわからないまま、カナはただ立ち尽くしていた。
その様子をじっと見つめるシンドバッド。
歯車はゆっくりと回り始める。