第7章 再会は“はじめまして”
「…紅玉。」
「はいっ!」
先ほどよりも張りのある声。
よほど嬉しかったのか、眩しい笑顔で見上げられる。
「……名乗るのが遅れましたね。私はこの度紅炎殿の命により第六皇女となりました、練紅奏といいます。」
演じなきゃいけない。
バレてはいけないから。たとえかつての友達でも。
カナは必死に笑顔を作ったが、視界がだんだん滲んでいく。
「紅奏お姉様って呼んでもいいですか?」
望んでいた再会のはずなのに
「ええ、仲良くしてくださいね?紅玉。」
なんて苦しいんだろう。
「はい!紅奏お姉様!」
また初めましてからだなんて。
自分の過去が消えていくようだ。