第7章 再会は“はじめまして”
すぐに食事で向かいにいた1人だとわかった。
煌帝国の人だよね…?
挨拶したほうがよかったのかな。
すると、少女は小さく震えながらほそぼそと口を動かす。
「は、初めまして。第九皇女…練紅玉と申します。この度は煌帝国とシンドリアとを繋ぐ大切なお役目としてお姉様が来てくださったこととても心強く感じておりまして……。」
目を合わせようとしないまま始められた挨拶よりも、カナはその名前に涙が滲んでいた。
紅玉…!ああ、やっと会えた。
顔を見れた。この日をどれだけ望んでいたか。
もうずっと会えないのだと思っていたぶん、目の前にいる紅玉がとても愛しく感じる。
カナが懐かしさに浸っていると、紅玉が泣きそうな顔を上げた。
「お、お姉様。挨拶が遅れて申し訳ありませんでした。」
カナは驚いた。
…この子こんな感じだったかな?
「こちらこそ、ごめんなさい。」
カナが笑ってそう言うと、紅玉は目を丸くして固まってしまった?
「怒らない…のですか?」
「どうして怒るの?私も悪いのに。」
扉越しではなくて、直に顔を合わせることで初めてわかった。この子は…紅玉はあまり良くない立場に立たされているのかもしれない。
オドオドと戸惑う姿が、初めて紅炎と出会った時の自分と重なる。自分より大きなモノが怖いんだ。
「紅玉?私たち年齢も大して変わらないのだから、敬語は止めましょう?」
「でもっ!」
「私が寂しいの。やっと会えたのに…。それに私はそんなに固い世界の中で生きてきた訳ではないから、慣れなくて。だから呼び捨てで…」
その時初めて気がついた。
私は紅玉の友達じゃない。
紅玉の姉の紅奏なんだ…。
紅玉は私を知らないんだ。