第7章 再会は“はじめまして”
「昨夜と同じ部屋で朝食が出来ています。王と八人将、それと…白龍皇子や紅玉姫もお待ちですよ。」
着替え終わり廊下を並んで歩いている時、そんなヤムライハの言葉で足が止まった。
紅玉……。
幼いころのあの時間は、今では遠いものとなっている。
互いに名前しかわからない。
あんな別れ方をしてしまって、もう私のことなんて覚えていないかもしれない。
それでも…初めての友達だから。
あの瞬間は本物だから。
「……紅奏姫?」
ヤムライハに名前を呼ばれて、意識をもどした。
心配させてしまったのか…。
「いえ、すみません。義兄弟といってもあまり面識はないものですから、少し緊張してしまって。」
そう言うと、ヤムライハの表情がわかりやすいほど明るくなる。
「そうですか。お二人とも優しい方ですし大丈夫ですよ。」
そういって自然に手を握れる彼女は、きっと幸せな道を歩いてきたんだろう。