第7章 再会は“はじめまして”
ん……。
煌とは違う暖かい日差しの中、カナはシンドリア2日目を迎えた。
目を開けて見慣れない光景に一瞬戸惑うが、早朝にしては眩しすぎる光にハッとする。
「私シンドリアに居るんだよね…。今何時っ?!」
華やかな装飾が施された時計の針は7を指している。
それを確認するとカナの顔はどんどん青ざめていき、目を見開いていった。
……お世話になる立場で寝過ごしてしまうとは。
昨夜の決意も虚しく、起きられなかった自分が情けなくなり頭を抱えこむ。
起きなくちゃ。
そう思って立ち上がった時、それを見計らっていたかのようにドアがノックされた。
「紅奏姫、おはようございます。入っても大丈夫ですか?」
この声はヤムライハさんだ。
昨夜酔った彼女に散々魔法について語られたから名前を覚えれたのも無理はない。
「い、今起きたばかりでして…!少し待っていただいてもよろしいですかッ?」
「あ、それならよかった。王より姫様の衣服はシンドリアで過ごすには暑いだろうと服を預かって参りました。着替えがまだでしたらお手伝いしたいのですが!」
ヤムライハにそう言われ、少しだけドアを開けて顔を覗かせる、
「ヤムライハさん…お願いできますか?」
「はい、喜んで。」
ヤムライハの笑顔に少しホッとした。
紅炎によって任務の邪魔になるだろうと侍女を置いていくように言われたため、馴染みのない者数名だけが控えの部屋に居るにはいるが…。
煌では皇女になった途端多くの侍女が四六時中付いていたため、衣服の着脱すらさせて貰えなかった。
だからカナには煌帝国式の服ですらきちんと脱ぐことができる自信が無かったのだ。
だから形だけの侍女よりも昨夜打ち解けたヤムライハの方が頼みやすかった。