第6章 七海の覇王
「そこでだジャーファル。一つ頼まれてくれないか?」
シンドバッドはジャーファルの肩に手を置く。
「はい、あなたの頼みならばどんなことでも。」
「……練紅奏姫の行動を監視し、彼女に関すること全てを報告しろ。そして彼女の心を我がシンドリアのものにするんだ。事が起きた時、彼女は2つの国に間に立ち揺れるだろう。その時煌を捨ててこちらに来るように仕向けるんだ。彼女の力は必ず役に立つ。」
「そ…それは……。」
シンドバッドの強い言葉にジャーファルは言葉を詰まらせる。
「彼女を振り向かせて恋仲になれ。どんな手段を使ってもかまわん。……やってくれるか?ジャーファル。」
「…仰せのままに、我が王よ。」
部屋から出て扉を閉めると、ジャーファルは扉にもたれかかりため息をついた。
「シンのためなら……私は……。」
その声は誰も居ない廊下で静かに消えた。