第4章 光が射すとき
何人もの従者を引き連れ、煌びやかな廊下を慌ただしく歩く2人の青年。
第一皇子練紅炎、第二皇子練紅明だ。
皇帝練白徳が暗殺され、2人の皇子が即位直前に亡くなるなど、大きな混乱があった皇帝国。
しかし二代皇帝に練紅徳が即位すると、数年で巨大な国家へと成長を遂げた。
紅徳の多くの子息が持つ不思議かつ膨大な力は国を安定させ、他の小国へ侵略を進めていく。
そして煌帝国は、七海の覇王が作り上げた国、シンドリアと友好条約を結ぶという歴史的な瞬間を控えていた。
友好条約は煌帝国とシンドリアの中間にある小さな島で、2週間後に両国の代表者によって結ばれる。
「紅明様っ!こちらの交易についての書状に一筆お願いいたします!」
バタバタと書類を抱えて彼らを追う文官に、歩きながらペンを握る紅明。
シンドリアと友好を結ぶと世界に伝わったのだろう。
各国から貿易や交流を求める声が多くなり、慌ただしい日が続いていた。