第2章 異彩の女
立て続けに次々とカナの従者だけが倒れていくため、
侍女達の間では、カナは呪われているだの、異彩の女(あくま)だの悪い噂が絶えなかった。
元々大きな後ろだても無く、煌に馴染みの無い容姿と父の歪んだ偏見から遠ざけられた影の姫。
噂の対象になるのは遅かれ早かれわかっていたこと。
カナは幼いながらにそれを理解し、耐えようと必死に笑顔を作り、ただ父に必要とされる日を待ち続けていた。
しかし、それは案外早くに打ち砕かれた。
テルの代から仕えていた最後の侍女が、カナが抱きついた途端に倒れたのだ。
まるで、生気を空いとられたかのように弱り痩けた侍女。
それを見ていた他の従者達は悲鳴をあげ、小さな姫の味方は誰も居なくなってしまった。
すぐに兵士が駆けつけ、訳もわからないまま手錠と足枷をつけられる。
泣き叫んだって、誰も聞く耳を持たなかった。
いや、皆怯えた目でこちらを見るのだ。
牢に閉じ込められ、重い扉が閉じられようとした時、
それらしき豪華な羽織を掛けた男性が現れた。
なんとなく理解する。
「お、お父様…ですか?」
「やはりあの時始末するべきだったか…。テルと同じ髪と瞳をしおって…汚らわしい。お前などいらん。お前など生まれてこなければよかったのだ。」
向けられた冷たい瞳に全てを壊される。
過去も未来も全てを否定されたようだった。
私は異彩の女(あくま)。
いらない影の姫。