第1章 短編
「う~ん?」
私は今悩んでいます。
もの凄く悩んでいます。
「・・・」
これを見たら誰だって困るはずです。
だって、人が死んでるんですから。
「なんて、一人で会話しているように喋っても、どうにもなりませんけどね・・・」
それから、また数秒だけ眺めます。
しかし、極限に限界までグロテスクです。
内臓が飛び出てますよぉ。
「うえ・・・。もう帰りましょう。夢に出てきたら貴方の所為ですからね!」
死体に言いながら踵を返すと、突然声が聞こえました。
「そりゃあ、酷でぇ言いがかりだな」
「え・・・?」
・・・?
もしかして、死体が喋りましたか?
そんな事ある訳無いじゃないですか・・・。
だって、息してなかったし、内臓とかも出てて・・・。
「おい、シカトか?」
「う、」
「う?」
「うわああああああああ!!?」
「!?」
ハッ・・・!
いけない、私としたことが思いっきり叫んでしまった・・・。
し、死体が喋ることなんて日常茶飯事なんですよ、きっと。
私が知らないだけで、きっと沢山の死体が喋っているんですよ、ハハハハ・・・。
「す、すみません・・・。取り乱してしまって・・・。へへへ!」
なんて情けない顔だ!
見なくても分かる、今の私の顔は情けない顔だ!!
「・・・いや、俺も急に話しかけて悪かったな」
ななななな、なんと!!
死体なんだから急も何も無いだろうと思うも私が悪いのに謝るなんて・・・!!
カッケェー!!
超絶カッケェー!!
神カッケェー!!
「何を言いますか!私がすべて悪いのでございます!!」
感激しすぎて言葉遣いが丁寧になってしまった!!
「お、おう?・・・何か、大丈夫か?」
「大丈夫です!それで、話しかけたのには何か理由があるのでしょ?何ですか?」
「あぁ、服っていうかコートが落ちてないか?あったら取って欲しいんだ」
「コート?」
死体なのに服がいるのでしょうか?
辺りを見回すと少し離れた場所にコートが落ちていました。
嬉々として振り向くと自分が固まった様な気がします。
だって、だってだってだって!!
傷が無くなっているんですもん!!
何という事でしょう!
バックリ開いていたお腹も、飛び出ていた内臓も全部無くなっています!