第1章 短編
「ねぇ、モールって本当は目見えてんの?」
そう聞くとモールは可愛く首を傾げた。
「ほら!モールって目見えないのに、車を運転したりしてるじゃない?」
「目は、見えませんよ。ただ、勘が良いというか・・・」
「ふーん・・・?あ!見てっ!期間限定のケーキ!」
ニコニコと笑顔でモールにメニューを見せると呆れたように笑っていた。
「なに・・・?」
「サヨは、その飽き性をどうにかしないといけませんね」
「えぇー?モールには飽きないよ?」
「・・・!」
注文を聞きに来た店員さんに、私のと勝手に決めたモールのケーキを頼む。
微笑ましそうに笑って去っていく店員に首を傾げモールを見る。
「私もです」
「え?なにが?」
「私もサヨに飽きることはありません。絶対に」
力強く言ったモールの言葉の意味を考える。
数秒後に辿り着いた答えに自然と顔が熱くなる。
「き、急に何言ってんの?!」
一人できゃーと照れていた私は知らない。
モールが小さく
「その忘れっぽさもどうにかしないといけませんね」
と、呟いていたことも。
店の店員さん達が
「あのカップル可愛いすぎぃ!」
と、悶えていたことも。
幸せすぎて何も知らない!!
END