第1章 短編
「お前は、本当にツンデレですね。」
「モール・・・。」
いつの間にか横に座っているモール。
でも、驚きはしない。いつも、モールはこんな感じで登場するから。
ようは、神出鬼没なのだ。
モールは目が見えないが、何故か周りが見えているように歩ける。
それに、とても落ち着いていて、穏やかな性格をしている。
私が何時も困ったときに相談している人物でもある。
「まぁ、今回はランピーが悪いのですが。」
「・・・。」
「そんなに拗ねないで下さいサヨ。そうですね。気分転換に私とお茶でも如何ですか。」
少し頬を膨らませながらチラリとモールを見る。
丸いサングラスの奥で目を細くし、微笑んでいる。
「しょうがないわね、付き合ってあげるわ。感謝しなさい。」
「えぇ。有難う御座います。」
そんな私の言葉にも笑って答える彼は、本当に大人だ。
ランピーも見習って欲しい。
「私、ランピーじゃなくて、モールにすればよかったわ。」
「それは光栄ですね。」
楽しく談笑しながら、一日を過ごす。
ランピーの悲鳴なんて、私達には聞こえない。
END