第1章 短編
「そんな事より、お店何処にあるの。」
「それよりって・・・。あそこ。」
落ち込んでいるランピーをほっといて、先にお店に入る。
店内は、とても落ち着いた感じでクラシックが流れている。
店員に案内された席に座り、注文した物が来るのを雑誌を見ながら待つ。
ちなみに注文したのは、グランショコラとコーヒーだ。
「そういえばサヨ、金環日食って知ってる?」
「えぇ、知ってるわ。それが何?」
急に変な事を言い出したランピー。
脳ミソ腐ってんじゃないのコイツ。
ランピーを怪訝そうに見つめながら話を聞く。
「いや、あれって確か直に見ちゃ駄目なんだろ?それで、何で見るんだったけなって思って。虫眼鏡だっけ?」
「・・・貴方だけ虫眼鏡で見たら?」
「ん~?」
「そんなに気になるのなら、試してみればいいじゃない。」
そう言うと不思議そうに首を傾げる。
「どうやって?」
「虫眼鏡で太陽を見ればいいのよ。金環日食とそう変わりないでしょ?」
おぉ!と声を上げながらキラキラとした目で私を見る。
こんな戯言を信じるなんて、本当にコイツは馬鹿すぎる。
「じゃあ、さっそく試してくる!!」
そう言って、ランピーは店を飛び出して行った。
「少しは痛い目に遭った方がいいのよあんなヤツ。こんなに素敵な彼女がいながら、他の女にデレデレしちゃってさ。」