第1章 短編
カドルスが勢いよく体を捻ると、勢いよくギグルスにスタッズが刺さった。
「きゃあああああああ!!!」
ギグルスの悲鳴が響く。
血を撒き散らしながら、帽子を取ろうと必死に頭を振り回している。
「・・・・・・。」
「・・・ごめん。」
私達は何時もの事だから驚きはしないが、友達なのは変わらないから罪悪感は少なからず有るんだよ?
こんな事は初めてなのだろう集団は、目を見開き呆然としている、のは一瞬だった。
「チッ、煩いよ。団長コイツ殺していいか?」
「ああ、殺せ。」
そして、これも一瞬だった。
瞬きをした瞬間、ギグルスの頭が吹っ飛んだ。
次はこっちが呆然とするばんだった。
「サヨ・・・。」
やめろ、そんな目で見るな。私だって、この状況に思考が付いていってないんだ。
「スプレンディド・・・。」
「だから!!そいつは駄目だって!!ディドが来たら私達が死んじゃうよ!!」
私達の会話に出てくるディドが気になったのか、団長と呼ばれていたオールバックが質問してきた。
「そいつが言うにはこの状況を打破できる人物で、お前が言うには自身が死ぬ可能性のある危険分子・・・。どうゆうことだ?」
楽しそうに口角を上げながら聞いてくる。
あまりディドの話はしたくない、バカにされるだけだ。
でも、言わなきゃギグルスみたいに殺される。
「自称、ヒーローだよ。」
目を逸らしながら答える。
すると、どこからか笑う声がする。
「ぶふっ、ヒーローとか、くくくっ!」
「お前!今もヒーローが居るとか信じてんのかよ!!」
ハニーフェイスのマッチョに、着物を着たちょんまげが笑っている。
周りも声には出さないものの、肩が揺れている。
「別に信じてる訳じゃないよ。ディドが勝手にヒーローって言ってるだけ。」
「で?何がそんなに危険なんだ?」
「それは・・・、ディドが人助けで人を殺すからで、えっと・・・。」
何て説明をしたらいいか、よく分からない。
う~ん、と唸っていると、上から凄まじい風の音がした。
口が引き攣るのが分かった。
私達を囲んでいた集団も戦闘準備に入っている。
「ひぃ!ディドだ・・・!殺されちゃうよ!!」
体を捻って、その場を移動する。
芋虫のように、這いずっている私に声が掛かった。
「今来るヤツがディドなのか?」
顔を真っ青にしながら必死に頷く。