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運命を紡ぐ人たちとその日常

第6章 「生まれ変わった後に」


わたしの無くなった5年間 3

「そんなに走るとまた熱が上がりますよ!?」
途中でよろけた私にそう言ってノボリ兄さんは叱ってくる
「だって、助けを求めて来るんだから助けないと」
私は目の前に居る名前も知らないポケモンに近づく
真っ白で大きいポケモン
足に深い傷を負っていた
骨折もしている
早く手当てをしないと
「兄さん、足を固定できるような大きい板を探してきて、クダリ兄さんは長い紐を探してきて」
「うん」
「分かりました」
兄さん達は急いで探しに行く
「どうにかしないと…私にも何かできる事」
このポケモンの足を直してあげたい
私にも何かできれば
何か、出来る事が無いの…?
何か…何か…

「何も出来ない事でしょ?」
えっ?
頭の中に声が響いてくる
どこか懐かしい様な
「そうよ!貴方には“アリス”が使えるハズよ」
アリス…?
「そう、だって…貴方は私と同じ…」

「ありがとう、氷空」


…?

最後に聞こえた声は…一体…

私は気が付くと病院で入院していた
頭がずきずきする
私は一体、何をして入院しているんだろう
とりあえず起き上がると
ノボリ兄さんとクダリ兄さんが病室に入って来た
「…!!氷空、気が付きましたか」
「大丈夫?痛い所は無い?」
いつも以上に心配している兄さん達を見て
「私…どうして入院しているの?」
ハロウィンパーティに行ったところは覚えているけど帰りの事が思い出せない
兄さん達は顔を見合わせるとすぐに先生を呼んで検査を始めた
両親も呼ばれて検査が行われる

家族が検査結果を聞いている間、私は外を眺めていた
バチュルとヒトモシも私の膝の上に乗ってくる
この子達は、私のポケモンだという事も兄さん達に教えて貰った

一方、兄さん達は
「ウソ…氷空が記憶喪失だなんて」
お母さんは泣きながら検査結果を聞いている
お父さんはそんなお母さんの背中をさすりながら
「記憶を…5年間の記憶を取り戻す方法は無いのですか?」
先生は難しそうな顔をしながら双子の方を見る
「今は何とも…記憶のなくなった原因がなんなのかがはっきりとしない様では難しいと思います。」

…実は、ノボリ兄さんとクダリ兄さんには記憶が無くなった事に関連しそうなポケモンについて知っていた。
でも、それぞれ氷空に頼まれたものを持って行くとそのポケモンはすっかり完治して空の彼方に飛んで行ってしまったのだ
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