第6章 「生まれ変わった後に」
わたしの無くなった5年間 2
それから3時間後
頭痛もようやく収まり
私は外がすっかり夕方になっているのを確認すると近くでデンチュラやランプラーと一緒に転寝している兄達を避けて体温計を取り出した
うん、熱も下がってる
「あれ?氷空、起き上がって大丈夫?」
「うん、すっかり良くなったよ!」
「熱は…下がっているようですね」
ノボリ兄さんはクスリを取りに向かって行った
「ねえクダリ兄さん…私、ギアステーションのハロウィンに行きたいんだけど」
今年のハロウィンパーティは夜に行われる予定だ
私はこの日の為に衣装も作っていたので参加したかった
「う~ん、熱が下がったばかりだし…ねえ、ノボリ兄さん」
「そうですね」
とりあえず薬を飲んでくださいと渡され、飲み込みながら
「絶対に無理はしないので、お願いします」
兄さん達は困った顔をすると
「分かりました、少しだけですよ」
「準備しておいで」
私は嬉しそうな顔をするとこの日の為に用意した衣装を取り出す
今回の衣装はアリスの衣装だ…
因みに、ノボリ兄さんにはマッドハッターの衣装でクダリ兄さんは白ウサギの衣装を渡してある
着替えた後、バチュルとヒトモシをボールに入れてリビングに出た
兄さん達は余程頑張ったのか綺麗に片付いている
私は昨日見た不思議な夢について考えていた
30分後…
「お待たせいたしました、氷空」
「行こう!ギアステーション!」
私達はそれぞれのパートナーのポケモンを連れてカナワタウンから出てる電車に乗り込んだ
行きは良かったんだ…
行きは…
ハロウィンパーティの帰りに私の何かが変わってしまった
帰り…
確か、あの時は夜の終電の電車に乗ろうとして裏道を通ろうとしたんだっけ
その時…
「助けて…助けて…氷空」
という声が聞こえた気がした
私は声のする方に歩いていくと
兄さん達は急いで追いかけてくる
「声が聞こえる…助けてって」
「声…ですか?」
兄さん達は周りを見渡すが
「声なんて聞こえないよ氷空」
私は耳を澄ませながら周りを見渡すと
白い…大きな影が見えた
「あっち…」
私は走って白い影を追いかける
兄さん達も走って追いかけていった