第3章 水も滴るイイ男
「嫌ァァァァ!!」
イケメン、ずぶ濡れ、裸。
泉に落ちた筈の私を待ち受けていたのは天使でも閻魔大王でもなく、青い顔をして叫ぶ黒髪の男性だった。
『……!?』
私は何が何だか分からず視線を彼方此方に走らせる。
木造の建物。
湯船。
十台近く設置されたシャワー。
どこかの銭湯だろうか。
先程まで身体を刺すほどに冷たかった水も、今となっては程良い加減の湯となって私に纏わり付いていた。
「てっ……てめェ何者だ!どっから現れやがった!?」
キョロキョロと動かしていた視線を男性に戻すと、彼は器用に大事な所を押さえて怖い顔をしている。
右手は胸に、
左手は下に。
男なんだから別に乳首は隠す必要な……
いや、下品な発言は控えておこう。