• テキストサイズ

[銀魂]恋は幻[R15]

第2章 町に風が吹く



“親は利き酒、子は清水”


『(……まさかね)』

そんな事ある訳ない。
だって、御伽噺じゃあるまいし。

頭ではそんな風に弟の言葉を馬鹿にしながらも、私の両手は自然に泉の水をすくい取ろうとしていた。

やけに冷たい。
まるで氷水だ。

泉に両手を突っ込んだ状態で思わず目を見張る。

真冬でも無いのに……晴れていれば陽射しだって差し込むだろうこの場所で、こんなに水温が低いなんてあり得るんだろうか。


“不思議な不思議な泉の水を”


伝承の言葉をそこまで
思い出した時だった。

バシャン……ッ!
激しい水音と凍てつく寒さが身体を包み込む。泉の中に落ちたと理解した時にはもう、私の腕は何者かに引っ張られていて。

『……!!……っ!!!』

引き摺り込まれる。
深い深い闇の中に。

薄れいく意識の中、
私が最後に見たものはー……


「ぎィやああああ!!!」


私が見たものは人生を振り返る走馬灯でも、閻魔が待つ地獄の門でもなく……全裸で大絶叫する瞳孔開き気味のイケメンだった。



【町に風が吹く】完
/ 16ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp