第2章 町に風が吹く
しかし、外出して僅か30分で私は自身の判断を後悔することになった。
『最悪……!』
季節外れの土砂降りに見舞われたのだ。
さっきまで晴れ間すら見えていたと云うのに。
以前住んでいた所とは違い、イイ具合に田舎な此処にはすぐに傘を買えそうなコンビニもない。
困った私は目に入った祠に身を寄せ、通り雨が過ぎるのを待つことにした。
ザー……
ザー……
人一人が充分に雨宿り出来る立派な祠。
周囲の木々にぶつかる雨音がその激しさを伺わせる。
『(……早く止まないかな)』
ちっとも弱ることのない雨足にげっそりと肩を落とした、その時だった。
視界の端に
見覚えのある文字が映ったのだ。
こ わ し み ず
だいぶ腐食してはいるが、祠の傍に建てられた石碑には確かにそう彫り込まれている。