第4章 揺らめく行灯
あれ……ここ何処だろう。
布団かな、温かい。
なんかフカフカしてる。
あと煙草臭い。
『………』
ズキリと痛む頭部を押さえつつ身体を起こすと、視界に映ったのは先程までの檜風呂ではなく畳張りの部屋だった。
薄暗い室内に四角いライト……確か行灯というやつだ、が光っている。
「よう」
聞き覚えのあるハスキーな声。
慌てて振り向くと壁にもたれかかって紫煙を燻らせるイケメンがいた。
部屋が暗いのでよく分からないが、色の濃い浴衣に身を包んでいる。
さっき銭湯だと思ったのはどこかの温泉だったのだろうか。と云うことは、此処は旅館の客室……?