第1章 目が覚めて。
…真鈴の顔を見つめた。
心臓がまたしても高鳴る。
(……結構、可愛い子じゃん、リンリンちゃん)
よく見ると結構なべっぴんさんだ。
(…って、何思ってんの、自分)
ボリボリ頭をかく。
「………ん」
「⁉︎」
真鈴が寝返りを打ち、近くにいた青雉の腕にしがみついた。
「ちょ…おい⁉︎」
…さすがの青雉も、これには動揺した。
「……ママぁ…」
「…。」
ママと言い、頬に一筋、涙を流したのだ。
(…そりゃ…そーなるわな。いきなり連れ去られーの、自分が変な能力使えーの言われたらなァ…)
「…でも返すワケにもいかねェしなァ」
指で真鈴の涙を拭きとり、頭を撫でた。
すると、真鈴は笑みを浮かべ、しがみついている腕の力を強めた。
「……しばらくこのままでいっか。」
だが、この体制はちょっとキツい。
腕を引っ張られ、背中が痛い。
…青雉は横になった。
真鈴の横に。
「よいしょ…っと。」
(こんなの、センゴクさんに見られたら終わりだな、俺)
「…俺も寝よ。書類は後で誰かがが持ってくるだろ」
青雉は真鈴の顔を見つめながら眠りについた。
…しばらくして。
青雉の予想通り、誰か、コビーが書類を持って牢屋に来た。
「クザン大将‼︎ 中々戻ってこられなかったので、後の会議の書る…あれ?」
牢屋の中には青雉の姿が見えなかった。
(入れ違いになったかなぁ。 …そういえば、なんでセンゴク元帥はこんな所にクザンさんがいるって言ったんだろう…)
「……ん〜」
「‼︎ クザンさ…」
青雉がベッドから起き上がった。
真鈴の腕がスルリと落ちた。
(ベッドにいた‼︎ …ってそれより、他に誰かいる⁉︎)
「あ〜…コビーか。」
「あ、は、はいっ‼︎」
青雉はベッドから降り、コビーの元に行った。
「ありがとねェ、わざわざこんな所まで」
「いっ…いえ‼︎ 大丈夫です‼︎」
書類を手渡す。
「あの…クザン大将」
「ん?」
「あの…聞き辛いことですが…」
コビーは一回口を閉じた。
「えっと…ベッドに、誰かいらっしゃるのですか…?」
「‼︎ あーと…ね」
まだ幹部以外に“清者”のことは知らされていない。