第1章 目が覚めて。
「ごめんなさい…立てますか?」
青雉の上から退き、彼の前に行って手を差し出した。
「あららら、優しいねェ…仮にもあんたを連れ去った悪者だよォ、俺は。」
「…私のせいで転けたから……」
(今は、そんなこと気にしてられない…)
よいしょ、と真鈴の手を握り立ち上がった。
(手、冷た…)
「ありがとねェ。」
「は、はい…」
立ち上がったものの、青雉は手を離そうとはしない。
「…?」
上目遣いに青雉を見上げた。
「っ‼︎ …いや…あんたの手、暖けェなァ…と思ってさ」
…真鈴の顔を見た一瞬、胸が高鳴ったのは何だろうか。
キュ、と握る力を強くした。
「そ…それは、どうも…」
(…どー反応すりゃいいか分かんないよ…‼︎)
「…そりゃあ、リンリンちゃん。俺をこーにまでにして引き留めた理由は何だァ…?」
「‼︎」
ドクン、と真鈴の鼓動が大きくなった。
「……今…1人に、しないで…欲しいです…」
ジッと青雉の方を向き、小声で呻くように言った。
「‼︎ ……でも、なァ…」
再び青雉の心臓の音が大きくなった。
(なんだ…この気持ちは…色々とめんどくせェことになりそうな感情だな…)
真鈴の顔を見た。
「?」
真鈴が首をかしげた。
…また心臓が高鳴る。
「…あらららァ…どーしちゃったの、俺…」
頭をかきながら、ボソリと真鈴に聞こえないように呟いた。
ちなみに、真鈴はまだマントを掴んだままなので離れるに離れられない。
(…実を言うと、少し首が苦しい)
「んー…まぁ、いいか。しばらくいてやるよ」
「‼︎ ありがとうございます…‼︎」
「んー…」
真鈴はパッとマントを掴んでいた手を離した。
…瞬間、眠気が襲ってきた。
(あ、ヤバイ、落ちる…)
「…うぉ⁉︎」
真鈴が青雉の方に倒れてきた。
「ちょっとーリンリンちゃん? おーい」
揺さぶっても真鈴は目を開かない。
…小さく寝息が聞こえてきた。
「寝てる…」
(これも副作用のせいか?)
「まぁどうでもいいや…とりあえずベッドベッド」
真鈴を姫抱っこしベッドに連れて行き、横にならせ、布団をかぶせた。
青雉はベッドの端に座った。