第1章 目が覚めて。
「あの…青雉さん?」
「なんだい」
「私…なんでこんなところにいるの、ココはどこ? 私のいた世界のどこか?」
「違う。ココは俺達の住む世界だ。…で、ココは海軍本部の地下牢。」
真鈴の住む世界ではない。
つまり…普通の一般人は行けない世界に来てしまっているようだ。
「な、んで…ココに、無理矢理連れ去られて…⁉︎」
「んー…説明めんどくせェなァ…」
青雉がボリボリと頭をかく。
「知っているのなら、教えてよ…‼︎」
「明日詳しく話するんだけど…その時じゃダメか?」
「今教えて。」
「………分かった。後であの赤いおじさんになんやかんや言われても知らねェぞ?」
青雉は立ち上がり、真鈴のいるベットのふちに座った。
(この人…身長、馬鹿デカイ…)
驚きの目でジッ、と青雉を見つめる。
…と青雉がこちらに顔を向けてきたので目が合った。
「…何か俺の顔についてるかい、リンリンちゃん?」
「いえ…何も」
ふいっと目をそらした。
…今、全く関係のないことだが、服が変わっていたことに気がついた。
学校帰りに連れ去られたので、制服のままだと思っていたが…。
青いワンピースに変わっていた。
まるで青空を示しているかのような。
…制服どこやったんだろう、と思ったが、今はそんなことより、何故こちらに連れ去られたのか聞く方が大切だ。
「…。」
「…。」
…終始無言。
(何かキッカケ作って話し出してよ…‼︎ き、気まずい)
「…リンリンちゃん、イイかい?」
「…はい。」
「リンリンちゃんはねェ…要するに不運だっただけなんだがねェ…」
「不運…?」
「…そのままあっちの世界にいられると、勿体無い。」
「…ごめんなさい、全く意味が分からない。」
「…だろうな。まぁ、ハッキリ言うか。」
青雉は一息つき、続きを話し出した。
「お前はな…“500年に一人の特殊能力者”だ。」
「? ??」
真鈴は首を傾げた。
「“特殊能力者”…? 私、そんな変なの持って無いわよ。…掃除とか家事全般得意だけど。」
「そんなちっぽけな能力じゃねェ。“癒しの力”っていう治癒能力を持つ人間だ…‼︎」
「‼︎」
“癒しの力”。
…母から何回も聞いていた言葉だ。